錫や真鍮といった素材の魅力を引き出すデザインとは?
これまで能作製品に関わってきていただいたデザイナーさんに、開発秘話を伺いました。
曲がる錫の器 はじまりのデザイン
錫100%製の器が生まれたのは、約20年前。
家具デザイナーの小泉誠さんとの出会いがきっかけでした。
小泉さんが能作の錫と出会ったのは、今から約20年前のこと。当時、能作はすでに錫製のぐい呑を試作していました。
「能作さんからデザインの依頼を受けて、錫がやわらかいのが難点だとか、研磨ができなくて困っているというような話を色々と聞きました。最初は、曲がってしまわない錫の器を作るためにどんな金属を混ぜようかという話もしていたんですよ」と当時を振り返ります。
「金属が曲がるということは、ネガティブに捉えると加工がしづらいという面があるんだけど、自分で自由に形が作れておもしろい、と捉えることもできますよね」。
その考えから、小泉さんはやわらかいままでも使える器として〈Tincry〉と〈Kuzushi〉の2つのシリーズをデザインしました。
「それまで銅器を作っていた能作が、新たな素材でデビューするにあたり、最初からあえて形を崩すという〈Kuzushi〉シリーズの考えをおもしろいねと言って、試みてくれたことで製品が実現しました。そういう挑戦心や理解が今の能作につながっていると感じます。僕自身、良い転機に出会えたなと思います」。
小泉 誠(家具デザイナー)
生活にかかわる全てのデザインを手がけ、
現在は日本全国のモノづくりの現場を 駆け回り、
地域との協働を続けている。
能作では製品デザインの他、 店舗デザインなどにも関わっている。