Story
鋳造課 生型鋳造チーム
本澤 貴志

今では能作の代名詞ともなっている「錫100%」の製品。
自分が入社した二十数年前は、まだ錫100%の製品が生み出される前だったので、
仏具・茶道具・花器を中心とした真鍮製品の鋳造に携わっていました。
現在では、鋳造の際、湯(鋳型に流し込む金属)の温度管理を正確におこなっています。
昔は自分の「目」と「感覚」だけを頼りに鋳造していました。
当時は、親方から目で見て技術を盗んでいました。
型作りでは、型枠に入れた砂をスタンプや自分の体重で押し固めることが重要です。
型を作る人によって使用する道具は同じでも、
すり減り具合による道具の変形で詰め込む砂の微量な加減も変わってきます。
それにより型の中の圧力が変わることで仕上がりに差が生まれてしまいます。
新しい製品の原型が完成しても、使いにくさがある場合は何度も改善を重ねます。

鋳造作業においても湯を流す 温度・スピード・強さ等により 物の仕上がりが変わってきます。
より良い製品を作れるよう、 職人一人一人が考えて 常に良いものを作る努力を惜しみません。
入社当時に比べると会社規模は大きくなりましたが、
自分の志としては、 腕を上げていくことのみ、他は何も変わりません。

鋳造課 生型鋳造チーム
本澤貴志
高校時代のアルバイトがきっかけで鋳物の道に。
勤続23年目のベテラン。
Favorite
職人のお気に入り
<そろり – L>
そろり – Lは他と鋳造方法が異なり、
上型下型を重ねて鍵をかけ、
鋳型を起こして湯を縦入れで流しこむ手法で
鋳造をおこないます。
鍵の締め具合や型が古いなどの理由より、
きれいに仕上がらないことも多かったです。
一切手抜きはなかったですが、
当時は仕上がりに満足いかないのは
自分の腕が足りなかったと思っています。
苦労した分、
今も思い入れの強い商品になっています。

そろり – L