Story
仕上課 課長
釣賀 康平
今年の4月より仕上課の課長として、錫製品・真鍮製品の仕上げ工程全般を管理しています。
仕上げ作業としては、主に錫製品の酒器類の仕上げに携わっています。
錫鋳物は気温や湿度等が変わることで鋳造後の仕上がりが安定せず、
同じ鋳物でも条件がその都度異なり、
それぞれの条件下でも決められた基準まで美しく仕上げることに、
自分自身仕上げの面白味を感じています。
能作の錫100%の製品は、やわらかく粘り気があり、
仕上げの際には繊細な力加減が必要とされます。
飲み口部分のバリ取りは、仕上げ工程の中でも一番難しい作業です。
錫はやわらかいことから、バリを削ると反対側に返しバリができ、
多方向からの研磨が必要になるのです。
また、溶かした錫を鋳型に流し込んだ時にできてしまう「湯じわ」や
湯まわり不良などを良品基準に満たすために手を施すのは、やはり技術が必要です。
どうしたらより良く仕上げられるかを考え、今までの経験から導き出しています。
その難題をクリアできたときには、
自分にしかできないことを見つけた感覚になるのです。
電気器具の修理や設置を生業とする父の姿を見て育った私は、
小さい頃から作業服を着て工具を扱っている様子が「仕事」だと感じていました。
父の仕事とは異なりますが、私のものづくりの仕事に対する原点は、
やはり父の姿からなのだと思います。
仕上課 課長
釣賀 康平
すべての基準が一定の大型機械のプログラミングから
繊細な錫鋳物の世界へ
Favorite
職人のお気に入り
<Kuzushi – Yure – 大>
能作に入社してから、錫製品の仕上げ作業に携わり、
初めて形状を整えたアイテムです。
仕上げ作業の最初の段階として、
まず製品についた余分なバリや、
溶かした金属が流れる湯道、
製品に流れ込む入口の堰部分の切除などを
主におこないます。
その後技術と経験を積んだ上で、
製品の表面が滑らかになるようバフ研磨により
形状を整える作業に就くことができるのです。
今では酒器を中心とした錫製品の
仕上げ全般を担っていますが、
初めて形状の仕上げに携わったアイテムとして、
能作の中でも特に思い入れが強い製品です。
Kuzushi – Yure – 大